20090329/旅の想い出(私信)

別府から大分駅に向かうバスの中で、ワンセグでセンバツを観る。山口県代表南陽工業が強豪PLに勝つ。そして私たちは歓喜する。

今回のセンバツは投手力がきわめて高く、接戦のいい試合がとても多い。日本中を沸かせたWBCの影響があるのではないか。

松坂、岩隈、ダルビッシュ。この本格派投手たちの神がかった投球を、高校球児たちは目と脳裏に焼き付けたことだろう。ちょっと前の日本代表、渡辺俊介や、成瀬善久、和田毅などの技巧派よりも、より直接的に参考になったはずだ。

で、なぜなんの縁もない南陽工業の勝利を喜んでいるのか。それは山口在住の某氏を囲む、年に一度の西日本旅行の最中だからである。そう、この旅の09年版。

旅の合間に聴いた2つの曲。まずひとつは、二日目の夜、泥酔しながら最後に訪れた飲み屋を出るとき、エレベーターの中で聞こえてきた曲。

"That's What Friends Are For" (C.Bayer Sager/B.Bacharach)

Keep smilin' Keep shinin'
Knowin' you can always count on me for sure
that's what friends are for

In good times And bad times
I'll be on your side forever more
That's what friends are for

「それが友だち」

ずっと笑って ずっと輝いて ずっといっしょに
それが友だち

いい時も 悪い時も ずっといっしょに
それが友だち

もう一曲は今日。限界まで揺れた大分空港へのホーバークラフトの中で、握りしめたトランジスタラジオ、大好きな番組『ハート・オブ・サンデー』から流れてきた。

"You've got a friend" (Carole King)

You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running to see you again

Winter, spring, summer or fall
All you have to do is call
Lord, I'll be there yes I will
You've got a friend

「きみの友だち」

ぼくの名前を呼んでくれれば
どこにいたって きみのところに駆けつける

冬 春 夏 秋
ただきみはぼくの名前を呼べばいい
きみのところに駆けつける

ぼくはきみの友だちだから

住んでいるところも遠く離れて、年齢もバラバラな6人。でも感覚は「友だち」。1年分の話題をあけすけに語り合う2泊3日。

遠く大分の街で、「友だち」の歌を聴いた。心からの「友だち」に囲まれながら。

そして4月がやってくる。私も、山口の某氏もちょっと緊張しながら迎える4月がやってくる。でも、まぁなんとかなるでしょう。「友だち」がいるからね。

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20090321/FMラジオ40歳。

NHKで昨日オンエアされていた『プレミアム10:FM40年記念番組 FMに愛を込めて』。テーマが素晴らしい。今年は日本においてFMラジオが40周年になるという。それを記念した番組。

出演者も萩原健太やジョン・カビラなど、納得できる人選だったのですが、とても残念だったのはその中心にTHE ALFEEがいたこと。

音楽的に過去をさかのぼる、とてもいい試みのときに、必ず坂崎幸之助が出てくるのはどういうことだ? 坂崎がはるか昔のこみいった話を翻訳して、視聴率に貢献すると思っているのだろうか? 要らない。

と思って、いろいろとサイトを見て回っていると……

どーん! なんじゃこりゃー!

おいおい、こういう企画は、誰よりもまずワタシに伝えなさい。それにしてもこれは本格的に凄いぞ。著作権の問題がある音楽の部分もきれいにフェードアウトしていて聴きやすいし。

要するに、とどのつまりはFMラジオがすっかり過去のメディアになってしまったということなのですよ。

TBSラジオなんかを聴いてみると、高齢化と軌を一にしてまだAMラジオというものが日本の現在に生きている感じがするけど、未だに「若者」「おしゃれ」「先進」に軸足を置くFMがどんどんアウト・オブ・デイトになっていく。

でもね、ワタシは再生の方法論があると思うのですよ。それは、結局、今回の番組の中で語られていた「エアチェック」の時代を生きた層に再度合わせていくこと。つまりは、ワタシ向きの番組を作ること。

この話はぜんぜん懐古趣味の話じゃなくって、まずミドル以上の世代が絶対的なボリュームが多い世代ということと、ラジオを聴く・録音するという行為自体を再度習慣化できる可能性があるということ。

そのためには私愛用のラジオをMP3に録音できるデッキ (これカテゴリー名称が必要やね)がもっと普及するべきだと思うけど、

ワタシがラジオ業界に遺した遺言

渋谷陽一の声をサイトから聴いて、こんなセンチメンタルな気持ちが再度盛り上がってくる。言うまでもなくその気分にTHE ALFEEは不要だ。

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20090315/無事終了。

生まれて初めてのテレビ生放送、無事終わりました。たいへん気持ちのいい現場で、関係各位に感謝いたします。というわけでお宝画像。番組終了後に行われた関根潤三氏、82歳のバースデーパーティ。後ろに控えるのはユニフォーム研究の第一人者、綱島理友氏。なんという組合せ!

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20090313/緊急告知。

そうそう。昼間の仕事でバタバタしていて、たいへん申し遅れました。ごめんなさい。あさって3月15日(日曜)23時~にCSやケーブルテレビで視聴できるフジテレビ739チャンネルで放送される『プロ野球ニュース』に出演します。野球音楽ネタです。よろしく。取り急ぎ。

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20090308/新曲についてスージー氏大いに語る(6)

お疲れ様です。あ、来週末にわりと有名なCSの野球番組に出演するかも知れません。その件については詳細決まりましたらまたここで緊急発表します。

さて、あとはいつものパターンで―――待望のスージー鈴木の新曲がまたまた発表された。題して《Destrade (デストラーデ)》。

「野球音楽の殿堂」の中の一曲ということで、今回も野球ネタではあるのだが、今回は初の西海岸もの。港南台から山下公園、太平洋一人ぼっちでロスアンジェルス。西海岸の夕陽といえばイーグルス《Desperado (デスペラード/ならず者)》ギリギリの拝借。ドン・ヘンリーが怒ってくるかもしれない綱渡りソング。今度は久々のピアノ弾き語り。以下スージー氏談。

まずはやっぱりこのLPの「帯」ですよ。「ならず者」、なんかおかしくありません? デイビッド・リンドレーの「化けもの」ほどではないですけど、なんかインパクトがあります。

野球浴のサイトでは「下北沢で見つけた」と書いていますが、いま撮影のためにLPを見てみると「黎紅堂武蔵新城店」のシールが。あ、貸しレコード屋からの放出品だったのですね。当時中古屋で貸しレコード屋からの放出品はとても安かったのですよ。特におニャン子関連はほとんどタダで入手できました。

やっぱ「野球音楽の殿堂」はキーがGじゃなきゃいけません。《ダルビッシュブルース》《どっちやねん》《野球の国》《東大阪で生まれた男》《たどりついたらいつも空振り》すべて、G。いちばん野球な和音、G。開放的で、大胆で、かっこいい和音。

ただしイーグルスはあんまりよく知らないのですよ。っていうか西海岸ものはあんまり好きじゃないのです。ま、ぶっちゃけていえばあんまり頭が良くないって言うか(笑)、強いて言えば、はっぴいえんどのつながりでお勉強したバッファロー・スプリングフィールド。でもあれもCSN&Yになったらちょっとお里が知れるっていうか、西海岸ぽい間が抜けた感じになるじゃないですか。

そういえば2001年の9.11のとき、ロスにいたんですよ。で、目的だった野球も全部中止でヒマだったし、初めての西海岸なんで絵に描いたようなことをしてみようと思い、イーグルスを聴きながらサンタモニカを車で走った。その瞬間、やっと分かりましたよ。もう本当に風景と音楽がビシっと合う。

鈴木茂《バンドワゴン》もなかなかでした。当時はやってたこの曲 はぜんぜん笑えるぐらいにダメでした(笑)

今回はサビがいいですね。ちょっとコード進行で遊んだ前半は歌いにくいし、不自然だし、ちょっとアレなのですが、サビのシャウトはほんものに肉薄している感じが。いやホンモノっていう言い方もなんなのですがね(笑)

キューバからいろいろあって日本に来て、デストラーデがいちばん最初に所沢の町を見た瞬間、そしてその町で野球をすることになった瞬間、当惑したろうなぁ、という想像の曲です。

Destrade(デストラーデ)/作詞・作曲:スージー鈴木

Destrade, why don't you come over sea?
海を越えて アジアのこの国へ
Destrade, far from the Cuba country
埼玉の地 どう見えたのだろう

情熱を押し殺して 無言でバットを振った
ラテンの風が吹く
どんより曇った空に 海の音も聞こえない
ふるさとから遠く

Destrade, why don't you come over sea?
何かみつめ 静かに笑ってた
Destrade, far from the cuba country
想い抱き フロリダへ向かった

Distefano
Delgado
De la Rosa
Destrade

なんだか英語の部分は文法的におかしいですけど、気にしない気にしない。しょせん「ならず者」の英語ですから(笑)

これからもいろんな国からこの曇った日本にやってきてプレーをするガイジンがやってきます。特に、町並みや空気、ニオイに違和感を抱きながらせっせとプレーする、低年棒でマジメな助っ人に対するシンパシーをこめてお届けします。

がんばれランビン、がんばれバーナムJr!(談)

というわけで、新曲を発表したスージー鈴木氏への単独インタビューをお届けした。次回の新曲も待ち遠しいところである。(編集部)

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20090301/「真実のビートルズ・サウンド」の真実。

南沙織《春の予感》が聴きたい気分です。少しずつ少しずつ春が近づいてきて、野球も近づいてくる。WBC強化試合、オープン戦……この少しずつな感じがいいですね。なお本サイトの上部で「開幕まであと●日」の自動カウントフレーズを入れていますので、ご参考まで(これを書いている段階ではあと33日)。

野球はあと1ヶ月間我慢するとして、今回は、とてもギターが弾きたくなる本のご紹介。

中山康樹氏とは違い、元音楽プロデューサーの方による、音楽理論的、レコーディング論的な解説本。こういう本には高校時代に出会っておきたかったと思わせる本。

稲尾和久がなぜか長嶋茂雄に打たれると。それで長嶋がどうしてガンガン打てるのかを考えて考え抜いたと。それで浮かんだのが「長嶋は結局なにも考えずに、ただ来た球を打っているだけではないか?」という仮説。で、稲尾も何も考えず、勘だけで配球して投げるとうまく抑えられたと。

ビートルズの奇跡のような音。これもとても長嶋的というか、結局、その場その場の思いつき、デタラメ、遊びから生まれていることがよく分かる本です。

たとえば《yesterday》の歌い出しが半端な7小節しかないとか、たとえば《you're gonna lose that girl》の転調とか。あんなのはアカデミズムで分析できるものではなくって、単なる思いつきなのですよ。ものすごく感覚的な音楽創りなわけですよ。

でも、そんな無邪気な思いつきが、ジョージ・マーティンのプロフェッショナルな音楽知識と、当時の楽器やレコーディング機材の充実とあいまって、ポップス音楽の世界を、面白く、広く、深く、はちゃめちゃにしたということ。

個人的にはじめて知った事実で、かつ興味深く読んだのが、ポールのベースの録音の仕方の件、 (以下、いま手元に同書がないのでうろ覚えで)《paperback writer》の録音時、もっといい音でベースを録りたい(当時の貧弱な環境ではベースの音が悪かった)という意向をうけて、エンジニアがスピーカーをマイクにしてベースの音を拾ったというエピソード。

とても自由だなぁ。面白いなぁ。なんかこんな大胆さが、ビーチボーイズ(≒ブライアン・ウィルソン)のひどく求道的な《pet sounds》とは違うところなんだなぁ。たぶん。

無性にビートルズが聴きたくなる。無性にギターが弾きたくなる。

E→D#aug→Bm(on D)→C#7。《it won't be long》の、和音の下2音が半音下降していく奇天烈なクリシェ。こんなのは凡才の音楽家が一生かかっても作れない。でもジョンやポールはほんの3分で作った気がする。

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20090222/大阪の懐メロラジオに溺れる。

ジェイムスさま。重ね重ね、ありがとうございます(2/16の記事"こういうのが一番 嬉しい!!"参照)。

さて、金~日で大阪弾丸ツアー。また南河内芸術大学への講義。昼も夜もバタバタしてしんどいしんどい。いよいよ鈴木家実家のそばの駅から甲子園に一本で行ける(たぶん)日が来ます。阪神と近鉄がつながることを告知する心斎橋の看板広告。

で、大阪の移動中はいつもAMラジオをつけているのです。東京のAMと違ってなんだか癒されるのですよ。関西弁のトークが心地いいというのもありますが、それ以上に懐メロが頻繁にかかるのがとてもうれしい。

はい。次は生野区のラジオネームこうちゃんさんからのお便りです。「チャッピーさま、毎週楽しく聴いております。先日、私の父がついに還暦を迎えました。さっそく赤いちゃんちゃんこをプレゼントしたのです。するとなんだか着るのを躊躇しているのですよ。どうしたのかな?と尋ねてみたら、近所に住んでいる仲がいいゲートボール仲間の女性からすでにちゃんちゃんこをもらってたことが判明。驚くやらあきれるやら」とのメッセージ。なんだか元気でいいお父さんですね。ではこうちゃんさんからのリクエストです。松田聖子で《ハートのイヤリング》……

と、これはワタシがいま適当に書いたのですが、とにかくこんな感じの、とてもオーソドックスな「リクエスト番組」がとても多いのです。いや昼間の番組はほとんどがこんな感じ。これ、聴いてて、実に楽しいのです。

東京の場合は、たとえば高田文夫、テリー伊藤、大竹まこと、吉田照美、云々云々、それなりのビッグネームが出演しているからどうしてもその人のトークに重きが置かれて、主体的に音楽をかけようという気運に乏しい。

でも、この不景気の中、ビッグネームを確保しつづけるのもたいへんだろうし、またトークはやっぱりその日その日の当たりはずれがあるし、それよりも普通の(無名な)パーソナリティが、リクエストに応じて懐メロをかけるほうが手軽で確実。

あ、絶対懐メロじゃなきゃだめですよ。だってもう人口の半分が50代以上なわけで(確か)、一部の若いヤングの方々のためだけにEXILEかけてもしょうがないのです。EXILEよりも松田聖子《ハートのイヤリング》。

いま、これを書いている瞬間(日曜14時40分)にも、朝日放送ラジオ『サンデー・ミュージックアワー/浦川泰幸の気分はトレンディ!』(なんちゅうタイトルや)で、松たか子《明日、春が来たら》が流れてる。これですよこれ。

こーいうことを書くと、"more music, less talk"主義者とか、アメリカのラジオ文化信奉者のように思われるかも知れませんが、いや、そうでもないのです(おっと曲は稲垣潤一《バチェラーガール》へ。よいよい)。

たとえば、わが愛しの『ミュージックパワーステーション』、鈴木ダイ氏のような上品で音楽に造詣が深い、ほんとうのDJがいればいいけど、日本には何人もいないでしょう? DJとは名ばかりの、「ただ英語がしゃべれるだけの薄っぺらい"DJ"」ばかりだから。だとしたら、"more music, less talk"みたいに洋風に気張らなくても、普通のパーソナリティで、上に書いたようなリスナーからのエピソード葉書やファックスと懐メロが交互に絡められている構成のほうが自然ですよ。

日本のほんとうのラジオデイズは、これからだ。

「進歩史観主義者」としては、R-1ぐらんぷりの優勝は絶対にバカリズムと主張する。『少年メリケンサック』は面白かったけど、主演が宮崎あおいではなくたとえば上野樹里だったらもう少し輪郭がはっきりしたかも。『ありふれた奇跡』は、いよいよありふれていない盛り上がりになってきたぞ(ここで曲はPUFFY《アジアの純真》へ)。

あ、そろそろこのサイトもなんと10周年。ひさびさに確認しておきますと、このサイトはスージー鈴木が小林信彦氏のような文章を書けるための訓練のためにつづけているサイトです。だから身辺雑記やグルメ記事はありません。完全リンクフリーです。よろしくおねがいします。

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20090215/ユニコーン再結成を嗤う。

どうにもノってこないのである。ユニコーンの再結成。

出演番組などを丹念に観ているが、ノってこない。新曲《WAO!》もぜんぜん面白くない。なんでだろう?

《車も電話もないけれど》《おかしな2人》《自転車泥棒》《スターな男》《月のワーグナー》。以上ワタシ的ユニコーンベスト5。現在42歳、ワタシにとっての青春のサウンドトラック!

なのに、この冷めた感じ。まずはやはり音楽として阿部義晴の手による新曲《WAO!》が、不出来ということがある。そもそも論として。

ただ、もうちょっと自らの違和感を探ってみれば、あの曲の演奏シーン、もしくは添付のDVDなどで見られる、異常に楽しそうにメンバーが音楽を創っている感じ、に対する抵抗感があるような気がする。

もともとユニコーンはとても民主主義的なバンドで、とくに後期についてはメンバー相互が正しくせめぎ合って作品を創っている感じが魅力だった。

しかし今回はせめぎ合うというより、単にふざけ合ってるという感じ。

「この、なにも考えず楽しく自由に音楽を創っている感じがユニコーンなのである」的な論調で今回の再結成を歓迎するコラムなどを何本か読んだ。

その視点、ワタシは違うと思うんですよ。その理由を書くのは長くなるので、たった一言だけ言えば「同窓会は同窓生だけでやってくれ」。

タミオとアベBとEBIがも一度コラボレーションするのなら、単なる同窓会じゃなくって、老体に鞭打って、身体はってせめぎ合ってくれなきゃ困るのである。逆に、中途半端な同窓会で青春のサウンドトラックに対する甘美な想い出を壊さないでくれ。

「楽しく自由に音楽を創っている感じがユニコーン」みたいな書き方をしているライターは、当時ユニコーンをちゃんと聴いてなかった人なんじゃないか?

タイガース、ミカ・バンド、YMO……すべての再結成はカスだった。ユニコーンもそのラインに乗るか。最終的な判断はアルバムを聴いてからにしたいが。

ジェイムスさん、書き込みありがとうございます。もともとの原稿はこれでした。名古屋以外のFM局で喋っているみなさん。首を洗ってこのコラムを読みなさい(週刊ベースボール前々号より)。

名古屋人に強烈に愛されているDJが歌うナゴヤドームの歌。
ジェイムス・ヘイブンス『ヒア・フォー・ユー』(作詞・曲:JAMES HAVENS)

名古屋にはドラゴンズがある。そして名古屋にはジェイムスがいる。

97年、ナゴヤドーム完成時に発売されたドームの「イメージソング」。歌うは名古屋のFM局、ZIP-FMの人気DJ、ジェイムス。

実は私、10年ほど前にFMヨコハマに出演していたのだが、そのころから噂は既に響いていた。「名古屋 にジェイムスというデタラメに面白いガイジンDJがいる」と。

ジェイムスはいまでもZIP-FMの番組『J-FRIDAY』に出演中。名古屋在住の知り合いから番 組の録音を入手し聞かせてもらったが、未だに能天気でハチャメチャのトーク炸裂である。笑った。

しかしジェイムス、単なるオモシロDJではなく、リスナーに強烈に愛されているDJでもあるのだ。

実は一昨年、愛知県長久手町で起きた発砲立てこもり事件のとき、犯人は親でも警察でもなく、ジェイムスと話がしたいと言ってきたらしい。そしてジェイムスは、オンエアしないことを条件に30分ほど電話で話し、そのとき犯人は犯行動機を具体的に明らかにしたという。

極限状況において、誰よりも先に心を打ち明けたいと思われる存在。FM業界全体が、ただ英語がしゃべ れるだけの薄っぺらいDJで占められる中、こんなDJ、他のFM局には決していないだろう。

ケータイ、インターネット、デジタル放送大騒ぎの中、名古屋だけはラジオがまだまだ元気なようだ。

あ、この曲? ま、ジェイムスは音楽よりもトークのほうが冴えていると言っておきましょう(笑)

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20090207/二十歳のころ(その2)

昨年の「手紙~拝啓、十五歳の鈴木君へ。」から、文章のトーンがちょっとセンチメンタルな感じに偏ってきるような気がして、本来クールで冷徹なトーンを本領としてきたこのページとしては、あまり好ましくない状況かと感じる。ので、おセンチシリーズは今回をもって最後にしたい。

最近、二十歳前後の若者と接する機会が多い。それは東伏見体育大学や、富田林芸術大学(ともに仮称)の大学講義にて、もしくはこの前お話させていただく機会を得た水道橋マスコミ大学(とうぜん仮称)の若者諸君など。

なんだか最近、若者に話したいという想いが強く押し寄せてくるのである。その理由をずっと考えていたのだが、その答えが最近おぼろげながら分かってきた。

ワタシは若者よりも先に死ぬ。当たり前ながら厳然たる事実。だから次代に伝えておきたい。これは遺言だ。スワンソング。

ただ、言いたいことはなにかというと、「二十歳のころ。」に書いたようなことか、あとは単なるオヤジの思い出話ぐらいのもので、まぁ、大したものではない。言ってみれば、自分が若い頃に飲んだくれのオヤジから聞かされて、ちょっとウザいなぁと思った類の話である。

ま、そんな暑苦しさは年寄りの特権として許してもらうとして、ふと考えたのは、当時の自分はどうだったんだろう?ということ。大学生、いまから20年前のスージー鈴木くん。

で、そんなことを思ったり考えたりしていた最近、すごいお宝(他人にとってはガラクタ)が自室から発掘された。もう本当に当時以来、20年ぶりに読む一品―――1989年3月、FM東京発行、深夜番組『東京ラジカルミステリーナイト』番宣フリーペーパー『ラヂカル文庫』!(ちなみにこの『東京…』という番組にはちょっとだけ出演したりしていました)。

スージー鈴木名義の売文活動(といってもギャラが発生していたかどうかは不明)の原始時代。この堅苦しい、暑苦しい生硬な文章! この上なく猛烈に恥ずかしい。けど勢いでアップしてしまおう。

青春の焦燥感と無限の自己顕示欲。「二十歳のころ。」的に言えば「"打ち消す青春"への折り返し点」に向かっていく青白い痩身の少年、スージー鈴木くんのハイテンション。

あー、こんなに熱かったんだ。こんなにヤバかったんだ。でもなんだか可愛いぞ。悪気も無さそうだし。恥ずかしげもないあからさまな感じがいい。二十歳やそこらで羞恥心なんて持ってはいけない。

若者よ、これぐらいの面持ちで突き進んでいけばいい。そして無限の自己顕示欲がこっぱみじんに壊されて、清々とした気分で平凡な人生を歩んでいくのがいい。

ただ、壊されたあとにほんのちょっとだけ心に残った自己顕示欲のカケラに突き動かされて、未だにこのような場所でセンチメンタルなことを書きつづけたりする。そういうのもまた可愛くて健気でいいのです。

個人的備忘録。映画『大阪ハムレット』と林真理子の『RURIKO』、テレビ朝日の50周年とやらで近鉄=ロッテの「10.19」を取り上げた番組が面白かった。あとは祝!ストリーク、ZETTのパンフに登場(笑)

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20090201/2009年の山田太一。

実は山田太一作品に初めて触れたのは、テレビドラマではなくって文庫本になっていた『岸辺のアルバム』である。

一気に読んだ、という言い方は手垢にまみれているが、ほんとうに一気に読んだ。割と分厚い文庫本だったが、それこそ2~3時間で読んだのではなかったか。

大学の受験勉強のときに、暇つぶし&文学史問題への対応として、いわゆる文学名作を読みまくって、でもそれらはやっぱりつまらなくって一冊にえらい時間がかかっていた。雲泥の差だ。

小田急線の和泉多摩川と登戸。川をはさんだ2つの町でドラマが展開する。川崎市登戸のアパートから東京の和泉多摩川の一戸建てを見つめる風吹ジュン。

そのリアリティ。当時川崎に住んでいたワタシは、自転車で登戸まで多摩川を北上し、じっと東京を眺めた。

次は再放送で観た『ふぞろいの林檎たち』。パート1とパート2。特にパート1の最終回だ。有名な会社説明会のシーンで終わるが、その前、東大(たぶん)の学生運動家に、時任三郎、中井貴一、柳沢慎吾が詰問されるシーンが印象に残る。

要するに、山田太一はワタシにとって青春の脚本家なのだ。

あれから20年。まったく印象に薄い『ふぞろい……』のパート3とパート4や、『丘の上の向日葵』を経て、いま、あのころの山田太一が帰ってきた。

『ありふれた奇跡』。家族の崩壊というテーマは『岸辺のアルバム』。「負け組」の青春という意味では『ふぞろいの林檎たち』。ワタシの人生を決定づけた2つの山田太一ドラマの視点が結集しているという感じがする。

それがこのとても不透明な時代の中で、いきいきと輝いている。あの独特の台詞回しも、高潔な仲間由紀恵、なんとも陰鬱な加瀬亮の演技力で無理なくなじんでいる。

勝手な憶測だが、これが山田太一の絶筆になるような迫力を感じるのだが。

同様に「青春の音楽家」といってもいいユニコーンが再結成。新曲を聴いたが複雑な印象しか浮かばない。絶筆を相手にしたら分が悪すぎる。

同日追記:この方も同様の感想を寄せています。文末に書かれている「アナログ」問題にも完全共感。

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20090124/東大阪市のニオイ。

その故郷の街は、たまに訪れると、こんなに道が狭かったのかと驚く。

一方通行は当たり前で、軽トラ一台がやっと通れるような路地とでもいうべき道に挟まれて、子供のころの自分の家、自分の青春、自分の生活というものが、ひっそりと在った。

ある独特のニオイがするのである。それは周りに溢れている町工場の金属機械から発する油のようなニオイと思うが、よく分からない。ただ思春期までの私の肺が吸い込みつづけたのはそのニオイだ。

東大阪市のニオイ!

東大阪で生まれた男はみんな、このニオイから逃げるようにこの街を出ていく。河島英五が、つんくが、松井稼頭央が、そしてスージー鈴木が。

いま大阪天王寺のホテルで、備え付けの産経新聞夕刊の記事、遠く種子島でのロケット打ち上げ成功の記事を読む。いわく「まいど1号、大阪の誇り」。

本件にとりたてて思い入れはない。日経ビジネスで「まいど1号」を巡る内紛記事みたいなものを読んでいるからなおさらだ。

ただ、あのニオイが宇宙につながっていたという事実に、深く感じ入るのである。

とつぜん変な話をするが、東京での毎日でワタシが接する人々は、明らかにワタシよりupperな人たちだ。

少なくとも彼ら、彼女らからは、あのニオイはしない。そんな人々との毎日の中で自慢でもなく、自虐でもなく、ニュートラルな面持ちで、もう晒してもいいだろう。

スージー鈴木は東大阪に生まれました。スージー鈴木はあのニオイの中で育ちました。

でもそのニオイ、宇宙につながってるみたいやで。

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20090118/新曲についてスージー氏大いに語る(5)

いきものがかりの新曲《気まぐれロマンティック》のPV、うしろの4人の振り付けが可愛すぎる(あ、曲もいいですね)。山田太一渾身の脚本、ドラマ『ありふれた奇跡』、勝手な憶測ながら、山田氏の絶筆になりそうな感じがするぐらいの迫力。

さて、あとはいつものパターンで―――待望のスージー鈴木の新曲がまたまた発表された。題して《Batting Class Hero~野球階級の英雄》

「野球音楽の殿堂」の中の一曲ということで、今回も野球ネタではあるのだが、今回はジョン・レノン《Working Class Hero》、ギリギリの拝借。オノ・ヨーコが怒ってくるかもしれない綱渡りソング。「野球音楽の殿堂」の原点に帰るギター一本弾き語り。以下スージー氏談。

いやいや、結局時間勝負なのですよ。録音に何時間もかけられるプロのミュージシャンならともかく、休日のそれも2時間ぐらいでいっきに録音しなきゃいけない兼業音楽家は時間勝負。今回は作詞・作曲・録音・ミックス、しめて2時間。って威張ることではないですが(笑)

でも怪我の功名とでもいうのか、案外よくありません? 久々の会心作かと。やっぱりこのワタシはギター弾き語りがいいですよ。策を弄さず。《いちご球場よ永遠に》みたいな病的な曲もいいですけど、ギター一本で、転調なし、単純なのがいいですよ。

で、そんな場合、依って立つのはやっぱりビートルズ関連。でもビートルズって、ギター弾き語りがありそうでないでしょ? ま、《ブラックバード》はありますけど、それは音楽的に深過ぎるし。

そこで《Working Class Hero》。なんか一発録りみたいな感じ。フィルスペクターが広がりのある音作りをしている『ジョンの魂』の中で、スペクターが職場放棄したように、まったくのノーエコー。

ギターがいい音で録音できましたよ。今回はチューニングがあってますね(笑)。コーラスのツマミを限界まで上げておきました。《Working Class Hero》よりもスペクターっぽいっていう(笑)

歌詞はちょっと分かりにくくなりましたね。いちおう含意としては、《Working Class Hero》の原詞をベースに、格差社会や偏差値教育や引きこもりをネタにしたつもりです。「生まれも育ちも隠せやしないけれど」のフレーズは沢田研二《灰とダイアモンド》からの借用ですが、この部分がいちばん好きです。

Batting Class Hero ~野球階級の英雄(作詞・作曲:スージー鈴木)

生まれたときから他の連中と差を感じる
ならば新しい可能性に打って出るのもいい
年を取るごとに不安が高まっていくならば
Batting Class Hero is something to be
Batting Class Hero is something to be
(「野球階級」の英雄は悪くないぜ)

測ることが出来ない能力を数字で示そうとする
ならば測れないような距離まで打てばいい
ちっぽけな知性ばかり要求されるならば
Batting Class Hero is something to be
Batting Class Hero is something to be

コミュニケーションを取れなきゃ人じゃないらしい
ならば有無を言わせないプレーをすればいい
すべての人脈を閉じて時間を浪費しているならば
Batting Class Hero is something to be
Batting Class Hero is something to be

宗教とセックスばかりで頭がいっぱいになる
ならばフィールドですべてをいっきに捨てればいい
情報もネットワークにも辟易としているならば
Batting Class Hero is something to be
Batting Class Hero is something to be

そこでは目もくらむような大金を手にすることができる
海の向こうから招かれることもある
君の生まれも育ちも隠せはしないけれども
Batting Class Hero is something to be
Batting Class Hero is something to be

Pitching Class Hero is something to be
Catching Class Hero is something to be

If you cannot be a hero well just follow me
If you cannot be a hero well just follow me
If you cannot be a hero well just follow me, then
Singing Class Hero is something to be
(「野球階級」の英雄が無理ならば「音楽階級」の英雄めざして俺についてこい)

あと上のGまで声が出てよかったなと(笑)

不景気のしわ寄せはなんやかんやで全部若者がかぶっていくのです。ワタシのようなクソジジイがこんなにくだらない歌を歌っている間に、明日の職もままならずネットカフェで寝泊まりしている若者がどんどん増えていく。そんな中、野球で食っていこうという意志で進んでいく若者を応援したいという歌。こんなにくだらない歌でも、ワタシができることはこれくらいかも知れないので。

これが"Singing Class"の末端からのメッセージです。では次回作をお楽しみに(談)

というわけで、新曲を発表したスージー鈴木氏への単独インタビューをお届けした。次回の新曲も待ち遠しいところである。(編集部)

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20090111/あけまして、訂正させてください。

おそまきながら、あけましておめでとうございます。

早速ですが、前回の記事で2008年のレコード大賞を「チャットモンチー《風吹けば恋》」と書きましたが、新年早々訂正です。昨年発売の曲の中で、年末のギリギリにこの曲に出会い、ノックアウト! 個人的に本気で迷ったあげく、こちらのほうをレコード大賞にします。

第10回 2008年レコード大賞 木村カエラ 《jasper》

どうでしょう。このメロディ。コード進行なんかはぜんぜん奇抜じゃないんだけれど、まったく跳躍しないこのメロディ(譜面を考えてみられよ)、それでいて絶対忘れられないメロディ。2008年版の《ワン・ノート・サンバ》だ。

一時期、木村カエラ嬢(というよりは彼女の取り巻き)に関して、コレとかコレとか苦言を呈していましたが、この曲で許しましょう。すばらしい。チャットモンチーを超えて、これ、レコード大賞!

あとは年末年始、コンテンツ系の雑感。

紅白歌合戦、今回、宮崎駿コーナー以外、ほとんどの演奏が事前収録、つまりカラオケじゃなかったか? 三原綱紀率いる楽団が別室にいたが、あんな怪しい話はない(演奏するならホール内のほうがいいに決まっている)。そのライブ感の低さが番組としての密度の低さにつながったと思う。ただし「羞恥心」のコーナーは、いい意味で高密度。

島田紳助という人は、不景気を商売に結びつけるのがうまい人だな。同じ意味でGReeeeNとかいうバンドも、サブプライムローン時代のバンドだと思う。

年末年始、いちばん笑ったテレビは『さんま玉緒のあんたの夢かなえたろかSP』の「デーブ・スペクターに会いたい!」のネタ。腹抱えて笑った。

あと『情熱大陸』の立川談春。こちらは感動してちょっと泣いた。

読んだ本はだいたいこんな感じ。山城新伍のがいちばん面白かった。約20年前、就職活動姿で日比谷シャンテの公開生放送『新伍のお待ちどおさま』を観にいって、ステージから声をかけられたことを思い出す。

今年も、『毎日新聞』『スポニチ』『日経ビジネス』『女性セブン』をかばんにいれて『ミュージックパワーステーション』『オールナイトニッポン・エバーグリーン』のMP3録音を聴きながら、会社に、大学に、球場に走り回ろうと思います。よろしくおねがいします。

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