20181230/「週刊スージー・レコード大賞」の発表。

2018年レコード大賞:米津玄師《Lemon》

選考理由は、上の記事と下記の東洋経済オンラインの記事に書き尽くしました。けれん味無くてスイマセン。その分、文句無し。

短調(マイナー)のヒット曲が異常に多く、その分、地味ながら楽しい音楽シーンでした。あとは、今夜のレコード大賞で、BiSHの最優秀新人賞を願うばかりです。

(参考)過去のレコード大賞

1992年:吉川晃司《せつなさを殺せない》
1993年:ザ・ブーム《島唄》
1994年:小沢健二《愛し愛されて生きるのさ》
1995年:Mr. Children《シーソーゲーム~勇敢な恋の歌》
1996年:奥田民生《イージュー☆ライダー》
1997年:カジヒデキ《ラ・ブーム~だってMY BOOM IS ME~》
1998年:ゆず《夏色》
1999年:椎名林檎《翳りゆく部屋》
2000年:慎吾ママ《慎吾ママのおはロック》
2001年:ピチカート・ファイヴ『さえらジャポン』アルバム
2002年:RIP SLYME『TOKYO CLASSIC』アルバム
2003年:クレイジーケンバンド『777』アルバム
2004年:大塚愛《さくらんぼ》
2005年:YUKI《長い夢》
2006年:Def tech 《Power in da Musiq ~Understanding》
2007年:くるり『ワルツを踊れ~Tanz Walzer』アルバム
2008年:木村カエラ《Jasper》
2009年:木村カエラ《Butterfly》
2010年:ベッキー♪#《好きだから》
2011年:桑田佳祐《月光の聖者達~ミスター・ムーンライト》
2012年:木村カエラ《Sun shower》
2013年:大友良英《あまちゃんオープニングテーマ》
2014年:赤い公園《NOW ON AIR》
2015年:星野源『YELLOW DANCER』アルバム
2016年:宇多田ヒカル《道》
2017年:小沢健二《流動体について》
2018年:米津玄師《Lemon》(New!)



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20181226/2018年「俺ドラマ・ベスト3」「俺ソング・10位~6位」の発表。

俺ドラマ1位:NTV『今日から俺は!!』

俺ドラマ2位:NHK福岡『You May Dream』

俺ドラマ3位:NHK『フェイクニュース』

次点:NHK広島『開局90年ドラマ 夕凪の街 桜の国2018』

俺ソング・10位~6位:

5~1位は、今週金曜日(木曜日ではなく)の東京スポーツで。



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20181215/2018年スージー鈴木「俺映画グランプリ」の発表。

1位:『万引き家族』
2位:『グレイテスト・ショーマン』
3位:『勝手にふるえてろ』
4位:『未来のミライ』
5位:『焼肉ドラゴン』

『カメラを止めるな!』も『ボヘミアン・ラプソディ』も出てこない。

1位は圧倒的。安藤サクラの代表作になるだろう。そして安藤サクラが「次の元号の樹木希林」として、名優を継ぐきっかけになるだろう。

2位は薄っぺらい内容を、音楽とダンスで強引に上書きする。この映画自体が「グレイテスト」な「ショー」だった。3位は松岡茉優の才気煥発。松岡は『万引き家族』にも呼ばれていて、作品運が最強。

『未来のミライ』は、私は楽しく観たのだが、世間的評価はそれほど伸びなかった。世間はもっと派手派手しいダイナミックな内容を期待したのだろう。私は『バケモノの子』のようなこってり味より、『未来のミライ』のような薄味のほうを好む。

『焼肉ドラゴン』は泣きながら観た。60年代生まれの大阪人としてはピンと来る内容。私のライフタイム・フェイバリット映画=『パッチギ!』の続編のような作品。井上真央の怪演に驚く。

MVPは安藤サクラ。

(参考)
「未来のミライ」が切りひらく日本映画の未来
映画「グレイテスト・ショーマン」成功の背景



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20181209/2018年スージー鈴木「俺本グランプリ」の発表。

「俺の本グランプリ」、略して「俺本グランプリ」。昨年は、『藝人春秋2』(水道橋博士)、一昨年は、 『1974年のサマークリスマス』(柳澤健)。さて今年は?

■俺本グランプリ:戸部田誠(てれびのスキマ)『全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)

今年の圧倒的ナンバーワン。90年代以降の日本テレビの躍進が、「感性」とか「文化」とかとは全く位相が異なる、極めて機能主義的な方法論よって成し遂げられたことが分かる本。

その日本テレビの躍進が、日本のテレビ文化を、面白くしたのか、つまらなくしたのかは微妙だが、少なくとも、視聴率トップを狙い続けた男たちのドキュメント自体は、抜群に面白いことが分かった。

■準俺本グランプリ:小林エリコ『この地獄を生きるのだ~うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』(イースト・プレス)



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20181124/今日から俺は『今日から俺は!!』に首ったけ!!

このクールでもっとも注目しているドラマは、日本テレビの『今日から俺は!!』。世間的にもそのようだ。視聴率も、明日あたり10%を超えるのではないか。

しかしこのドラマ、手の混んだストーリーなど、まったく無い。では、何が面白いのか――主演の2人=賀来賢人、伊藤健太郎の「体技」だ。

ここで言う「体技」には、運動神経溢れる動きだけでなく、反射神経溢れる喋りまで含まれている。テクニックではなくフィジカルを楽しむドラマ。とりわけ賀来賢人のフィジカルは、これから数年のテレビ界を背負える何かがある。

このドラマでは、そんな見事な「体技」に対して、ムロツヨシや佐藤二朗が、言葉やアドリブの笑いで迫ってくるシーンが多いのだが、個人的にはそれは余計。その部分だけ、ゼロ年代に引き戻される。

それくらい、このドラマは、賀来賢人に任せていい作品だと思う。

「体技」の笑い好きを自負する私だが、最近のコントには、言葉の笑い中心の、いわゆる「漫才コント」が多いと思う。なぜか。

ライブハウスの小さな舞台が「体技」を制限した結果、「漫才コント」が増えて来たのではないか。そうして、お笑い界全体が、小さく小さくまとまっていくとしたら、これは実につまらない。

だから、「体技」の振興には抜擢が必要となる。このタイミングでの賀来賢人の抜擢は、そういう意味で、とても好ましい。

宮藤官九郎脚本、TBS『池袋ウエストゲートパーク』から、もう18年が経った。そろそろ塗り替えられていいのだ。『池袋~』における窪塚洋介の、何かが憑依したような見事な演技を塗り替えるのは、賀来賢人ではないか。

ドラマ界に巣食うゼロ年代の亡霊を蹴っ飛ばすドラマ。



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20181118/映画『ボヘミアン・ラプソディ』とJポップとの意外な関係。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒット。この映画、個人的にもけっこう感動したのだが、それでも最後まで乗り切りなかったのは、「クイーン、涙と感動のバックストーリー」という方向に集約すべく、史実をねじ曲げていた点。

「ドキュメンタリーじゃなくって映画なんだからいいだろう」と言われればそれまでなのだが、それでもアルバム『世界に捧ぐ』以降、リアルタイムでクイーンを聴いていた世代としては、こういう憎まれ口を言わなければいけないという、一種の責任感のようなものすら感じるのだ。

ただクイーンは、70年代後半当時から、その語られ方が貧弱で(とにかく音よりルックスで語られた)、逆に言えば、だからこそ日本において、世界に先んじて爆発的な人気が出たとも言える。

言ってみれば、実はビートルズもそうだったのだが、世界中の研究家や愛好家の尽力によって、数多くの書物が世に出て、最近では、音楽的に深く語られることが多くなった。

言いたいことは、この映画のヒットを機に、いよいよ、クイーンの音楽性が、深く正しく語られる機運が出てくれば嬉しいということである。

個人的に注目したいのは、以下3点。

(1)クイーンが日本でいち早く人気が出た(及び、今回の映画が、若い人々を惹きつけている)理由として、(初期)クイーン特有の、多重録音を限界まで使いこなした、あらゆる声や楽器がぎゅうぎゅうに詰まった音作りがある。

(2)加えて、やたらとドラマチックなメロディやコード進行など、展開としても非常に構造的・構成的だったことも奏功した。

(3)そういう、色んな声・楽器・メロディ・コードが「幕の内弁当的満腹感」を喚起する音作りは、日本人の音楽的好みと合致していて、オフコース、サザンオールスターズ、Mr.Childrenなどに引き継がれ、実は現代のJポップの根幹を成しているのではないか。

ということ。一言で言えば、映画でも一瞬使われた《Spread Your Wings》が、Jポップの走りだったのではないか論である(半分冗談・半分本気)。

だって、タイトルを直訳してみてほしい――「翼ひろげて」、何とJポップ的な!



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20181111/スージー鈴木音楽評論生活・祝30周年!~デビュー原稿開陳

他の原稿に追われて、このサイトの更新も、いよいよ手詰まりなってきました。

が、「コテコテの重い文章をたまに」よりも「軽いのを毎週」という感じで続けていきたいと思っています。というわけで、今回はこれ。

私のデビュー原稿です。30年前=昭和最後の年、1988年の7月。私がお手伝いしていた、FM東京の『東京ラジカルミステリーナイト』の番宣用フリーペーパーより。同番組でオンエアされた、山下達郎と桑田佳祐の豪華対談の宣伝用記事です。

お二人のマニアの方に開陳します。この原稿から、スージー鈴木さんの苦闘の30年が始まりました。



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20181020/沢田研二は、もっと凄くて、もっと面倒くさい。

上のツイートにもあるように、今回の「ドタキャン」事件について、「あぁ、いかにも沢田研二らしいなぁ……(苦笑)」と思ったのが、正直なところだ。

この事件、沢田研二ファンの私としても、さすがに擁護はできないものの、巷間言われているように、イベント会社や事務所との関係で、スジの通らない何かがあったのだろうと察しが付く。

そう「スジを通すこと」。それが、沢田研二という人が、最も大切にすることだ。そしてスジの通らないことがあれば、後先考えず、徹底的にあらがう人だ。その結果として今回は、多くの観客に配慮を欠く結果となったのだが。

一部のネット民に不気味がられている、例の「脱原発」への取り組み(楽曲作り、署名活動)についても、原発事故や再稼働の動きが、人間・沢田研二として、スジが通らないことに見えたのだろう。そう思ったら、徹底的に追及する。

沢田研二と矢沢永吉は、敵に回すと怖い人というイメージがある。それに比べたら、怖い怖いと語られがちな内田裕也なんて、天使のような人だろう(余談だが、沢田研二には、内田裕也を皮肉った《湯屋さん》という曲がある)。

事件の翌日、カーネル・サンダースのような姿で、公園のやぶ蚊に刺されながら、誠実に謝罪する姿を見て、「あぁ、年をとって丸くなったな」と思ったのだが、それくらい沢田研二は、私にとって、怖い人のイメージがある。

話が長くなったが、沢田研二ファンの私は、彼の、そんな「スジを通すこと」への執着を愛する立場である。むしろ「スジを通すこと」への執着を見て、沢田研二のファンになった者だ。

今回の一連の報道を見て驚いたのは、マスコミの論調が予想以上に好意的だったことと、しかし、沢田研二に関する認識について、世間と私の間に、強烈な段差があったことである。

謝罪シーンの合間合間に、《勝手にしやがれ》や《時の過ぎゆくままに》などが流れる編集をされた映像を見た。いやいや、その沢田研二って、何十年前!?

  • 今回のツアーは、すでに武道館、大阪城ホール、横浜アリーナを回っていること。
  • そのツアーは、ボーカル・沢田研二と、エレクトリックギター・柴山和彦という、たった2人の編成であること。
  • 前回のツアーのセットリストは、自らのヒット曲をワンコーラスずつ、50曲も歌うものだったこと。
  • その前のツアーは、セットリストのほとんどが、脱原発のメッセージソングばかりで占められていたこと。
  • その前に、ザ・タイガースの再結成があり、サポートメンバーなしの5人で、東京ドームを満席にしたこと。
  • というような活動を、プロモーションやタイアップもほとんど無い、丸腰の形で成功させ続けていること。
  • ……という沢田研二が、今年70歳、古希になったということ。

このあたりのことを、少しでも知っているかいないかで、今回の件の印象は変わってくる。言いたいことは、世間が思うより、もっと凄くて、もっともっと面倒くさいオッサンだということだ。

これが今回、「あぁ、いかにも沢田研二らしいなぁ……(苦笑)」と思った背景である。

最後に一点。いくつかのネット記事で、「ドタキャン」された側のファンが「勝手にしやがれ」と発言したというのを見かけた。

それは嘘だろう。かつ捏造記事としても、そのネタは、それほど上手くない。むしろ、今回の事件で、沢田研二ファンが想起するのは、この曲だ。

後に引けぬ 日常だから
悔やむなんて 何を?今さら?
代わり映えも しないのがいい
今日も 明日も
ROCK'N ROLL MARCH
ROCK'N ROLL LIFE

《ROCK'N ROLL MARCH》(2008年)

追記:そんな私が、沢田研二についても言及した新刊が、この本です。



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20181007/新刊『イントロの法則80's』発売記念、恒例の中身チラ見せ大会!

いよいよ、私の新刊新刊『イントロの法則80's~沢田研二から大滝詠一まで』(文藝春秋)が発売されました。ぜひお買い求めくださいませ。

このように理想的に陳列されている店もあったりで、とても嬉しいです。

では恒例の中身チラ見せシリーズ。どんどん立ち読みしていただき、ご興味あれば、上のアマゾンのリンクをポチっとお願いします!

70年代歌謡曲のイントロ評論も少しだけ書いています。

最後は7章に渡る大論文を。

なお、今夜から、BS12トゥエルビ『ザ・カセットテープ・ミュージック』は、日曜21時からのゴールデンタイムの放送となります。ぜひご覧くださいませ。



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